数か月間の外出禁止措置(セミ・ロックダウン)の後、ヤンゴン管区域政府(Yangon Region Government)は新型コロナウィルス感染拡大を封じ込めるため、2020年9月21日に2度目の全面的都市封鎖を命じ、700万人以上が自宅に閉じ込められることとなった。生活の維持に必須でない業種は休業を強いられ、タウンシップ(郡区)間の移動は禁止され、道路は封鎖され、バスやタクシーの運行は停止された。街の通りが静まり返り、徒歩と自転車のみがこの街を移動する唯一の手段となった頃、私はヤンゴン中心市街地のロックダウンの記録を取りはじめた。

クラクションの音や、露天商の呼び込みの声が止んだ。時折、この異様な沈黙をつんざくように、カラスの鳴き声や救急車の音が自宅の小さなバルコニーから聞こえてくる。

新規感染者が見つかり、隔離されたビル。全ての住民が地域の隔離センターに移された。

ダゴン郡区(Dagon township)にある国立衛生研究所(National Health Laboratory)で検査を受けるために並ぶ住民。ここは現在、ミャンマーの主要なCOVID-19検査機関となっている。9月28日現在のミャンマーにおける陽性率は平均で15%だった。フロンティア・ミャンマー(Frontier Myanmar)の報道では、当時、これより陽性率が高かったのは、ほんの一握りの国(イラク、チュニジア、メキシコ、ブラジル、コロンビア、アルゼンチン)だけだった。

マハバンドゥーラ通りでマスクやフェイスシールド、手袋、手の消毒液を売る男性。ロックダウンに伴い、多くの露天商が扱う商品を果物や花から個人用防護具へと素早く切り替えた。

ヤンゴンのチャイナタウンの喫茶店で売り出されていた月餅。この街の象徴であり、最も活気あるコミュニティ空間だった喫茶店は、最初のロックダウン後、営業を再開してちょうど2か月間のところで再び9月初旬に無期限休業を命じられることとなった。地元の小規模ビジネスが最もひどい打撃を受けた。その多くが廃業を余儀なくされた。

バリケードで封鎖された路上で遊ぶ子供たちの傍らで、手袋やマスク、プラスチック製フェイスシールドを着けた尼僧が托鉢をしている。僧院や尼僧院、工場、老人ホームや刑務所は、感染拡大を抑えるのが最も困難な場所だ。男性僧侶が多くの支援を得られるのに比べ、尼僧は十分な施しが受けられず、深刻な食糧不足に直面している。

ヤンゴンの幹線道路の一つ、ボージョ―アウンサン通り(Bogyoke Aung San Rd)で「チンロン(caneball/Chinlone)」というゲームに興じる若者たち。ロックダウンが長引くにつれ、疲れた住民は危険を承知で外出し、普段よりも静かな通りを有効活用するようになった。年配の男たちは、早朝や夕方に椅子を持ち出して一緒にお茶を飲みながらお喋りする。話題は、酸素吸入を受けた友人や「例の病気」のせいで亡くなった隣人のことだ。

まとめられた商売道具の上に座って休憩する年配の露店商人。閑散としたボージョ―アウンサン通りにて。

37番通りで鮮魚を売り歩く女性とその孫たち。バスの運行が止まり、通りが封鎖され、ステイホームをするゆとりのない大勢の行商人は客を見つけようと必死だ。ヤンゴンの市場はウィルスの温床となっていて、家から出られなくなった住民は新鮮な野菜や肉を行商人に求めている。

魚を売る女性。いつもは賑やかなヤンゴンのチャイナタウンの市場区域にて。

高級喫茶店では、ソーシャルディスタンスのルールを守るため、テイクアウトを待つ客のために椅子が並べられた。

選挙ポスターの前でポーズをとる連邦団結発展党(Union Solidarity and Development Party/ USDP)の候補者の傍らを、個人用防護具を着け、トラックの荷台に乗ったボランティアの若者たちが通り過ぎる。ミャンマーの隔離センターやコロナの応急病棟、遺体安置所、埋葬地は、大勢の地域ボランティアによって支えられている。

近くの公園で飼い猫の散歩をする若い女性。猫は船乗りの婚約者からのプレゼントだ。

ボータタウン桟橋(Botahtaung Jetty)にて、仕事の合間に息抜きをする付近の病院の看護師たち。近くにはヤンゴンで最も神聖な仏教寺院の1つ、ボータタウン・パゴダ(Botahtaung Pagoda)がある。寺院やモスク、教会は2020年4月以降、参拝者の立ち入りが禁止されている。

昼下がり、スーレー・パゴダ(Sule Pagoda)にほど近いアノーラター通り(Anawrahta Rd)をフード・デリバリーの男性が自転車で進む。普段なら、ここはヤンゴンで最も交通量の多い交差点の一つだ。

ヤンゴン中央駅付近のパンソダン橋(Pansodan Bridge)で眠る子供。政府のポスターが、11月8日の選挙への投票を市民に呼び掛けている。

2021年5月2日 公開(2020年12月3日 脱稿)
翻訳 吉田千春および東南アジア地域研究研究所

ポリーナ・ポリャンスカヤ (Polina Polianskaja) 2009年よりミャンマーとその国境地域を拠点に活動する社会人類学者、インディペンデント・リサーチャー。女性の生活や移住、農村部での暮らし、女性の司法および法制度へのアクセスについて研究してきた。ロシアのサンクトペテルブルク生まれ、ソビエト連邦の崩壊後にヨーロッパへ移住した。パリのソルボンヌ大学で言語学を、ウィーン大学で社会文化人類学を学んだ。現在、オーストラリア国立大学(ANU)で社会人類学の博士課程に在籍している。